高松市

企業訪問で見つけるのは――“推し事”発見ワークショップ「放課後FACT-ory」

 香川県には、誇れる企業と仕事がたくさんある。
 それなのに、県外へ進学・就職した若者が、そのまま戻らない――そんな現実に、大人たちはずっと胸を痛めてきました。

 推し事発見ワークショップ「放課後FACT-ory」は、香川県内の高校生が企業訪問を通して「自分の将来なりたい姿」を探すプログラムです。目指すのは、企業の“良いところ紹介”だけではありません。高校生が感じた驚きや熱量(エモさ)を、自分の言葉でアウトプットし、未来の選択肢を増やすこと。
 この体験が、いつか県外に出た彼らが「そういえば香川にも、あんな大人がいたな」と思い出し、帰ってくるきっかけになることを願って――。

地元を知ることが、未来の選択肢になる

「放課後FACT-ory」が向き合うのは、“情報不足”ではなく、“体験不足”かもしれません。地元に魅力的な企業があることは、頭では分かっていても、実際に見て・聞いて・空気を感じる機会は多くありません。
 だからこそ本企画は、香川で働く大人や現場に出会い、「このまちで働くって、こういうことなんだ」を身体で理解する設計になっています。そこにあるのは、「せっかく香川に生まれ、高松で育ったみんなに、この地で輝いてほしい!」という、地域の大人のまっすぐな想いです。

企業訪問の前に“自己分析”から始める理由

 ワークショップのスタートは、企業訪問……ではなく、自己分析から。
 高校生たちは事前ワークで、「どんな仕事に心が動くのか」「企業の強みや魅力を、どう捉えるのか」「”やりがい”を何に感じるのか」を言語化し、訪問先で直接聞く質問を自分たちで組み立てていきます。
 ただ見学して終わりではなく、「自分の問い」を持って現場に行く。この設計が、体験の濃度を一段上げます。

現場で触れた“仕事の奥行き”。香川を代表する3社を訪問

生徒たちが訪れるのは、香川を代表する3つの企業です。

  • 高松琴平電気鉄道株式会社
  • 株式会社フソウ
  • 高松帝酸株式会社

 普段は見られない現場に入ることで、仕事の“表側”だけでなく、「なぜその工程が必要なのか」「誰の役に立っているのか」という裏側まで立体的に理解できる時間に。
 高校生が準備した質問にも丁寧に応じてもらい、仕事が一気に身近なものへ変わっていきます。

発表会&“1分動画”制作で、体験が自分のものになる

 訪問後、生徒たちは自ら撮影した素材を使い、1分間の企業紹介動画の制作に挑戦します。
 しかも作るのは1本ではなく、雰囲気の異なる2本。編集に苦戦しながらも、「自分たちが感じた”エモさ”」「小学生にも伝わる”面白さ”」をどう表現するかに向き合います。
 ここで大切にしているのは、企業のPR動画を“代行”することではなく、高校生自身の「問い」への答えとしてのアウトプットであること。体験が「思い出」で終わらず、自分の軸になっていきます。

参加した生徒の声

 参加した生徒からは、「HPで得た情報でなんとなく会社をイメージしていたが、実際に訪問して、食べ物や生活のあらゆる場面で関わっていることを知って驚いた」「働く大人たちの“もっと地域を良くしたい”という熱い思いに触れて刺激を受けた」といった声が寄せられています。快適なオフィス環境や、災害時に地域を支える機能を備えた施設など、“現場でしか分からない発見”も、このプログラムならではです。

 この体験は、参加した高校生だけのものではありません。香川の企業や働く大人の魅力が、次の世代へと手渡されていく第一歩でもあります。
「地元で輝ける未来は、自分でつくれる」。そう信じられる時間を増やすために——放課後FACT-oryは、これからも“推し事”との出会いを、高松の放課後から広げていきます。

「放課後FACT-ory」の様子