令和7年11月11日(火)、香川県の中小企業が共通して抱える「大規模災害時の事業継続」という課題に対する新たなアプローチとして、㈱11ネット・インシュアランスが県内企業の環境や強みを可視化し、専門家による実践的な訓練により計画自体の見直しまでつなげていく「実践型BCP(※)」のモデル化事業を開始しました。
(※)BCP(事業継続計画):大規模災害や事故などの緊急時に、企業が重要な業務を止めず、できるだけ早く復旧させるための行動手順をまとめた計画
「机上では終わらせない」 実施訓練で磨くBCP


第一弾として ㈱本田石油 香南SS(高松市香南町)を対象に、大規模な実施訓練が実施されました。
専門家として指導にあたったのは、全国の自治体・企業で実践的BCP導入を支援してきた第一人者、㈱BCP JAPAN 代表取締役・山口泰信氏。山口氏は阪神淡路大震災でのボランティア経験を原点に、現場で「身体に染み込ませる訓練」を重視してきた人物です。
今回の「実践型BCP」は、避難誘導・安否確認・発電機稼働・給油再開までを本番さながらに実施し、結果を分析・改善まで行うのが特徴だ。最初は30分かかった一連の作業が、 数度の訓練を繰り返すことで、10分未満まで大幅な時間短縮が可能となった。訓練を重ねる中で、スタッフからは、「普段使う機械への理解が深まった」、「救助方法や動線が体で分かった」、「社員間の連携向上につながった」などの声が上がりました。
山口氏は「マニュアルは停電時には読めない。身体が動くかどうかが生死を分ける」と指摘します。
地域の最後の砦を支えるために

本田石油・香南SSは高松空港に最も近いガソリンスタンド。比較的安全とされる立地から、災害時には県内各地へのエネルギー供給や、ライフライン復旧の中核となることが期待されます。
本田石油スタッフは、「ガソリンスタンドは災害時、エネルギー拠点として最後の砦となる重要インフラであり、何が起きても供給を止めないという使命感を、より強く意識するようになった」と話していました。
㈱11ネット・インシュアランスも、高松市香南町にある本社「BCPパーク」をバック基地として計画に加わり、「企業間の連携が重要である」との考えを述べました。