
地元企業の現場で学ぶ、未来のキャリア


2025年8月19日、香川高等専門学校高松キャンパス(以下「香川高専」)と百十四銀行の共同企画として「企業見学会」が開催されました。今回訪問したのは、県内を代表するものづくり企業である株式会社トーコーと株式会社カワニシです。
この取り組みは、地元企業と、学んだ知識を実社会で活かしたい学生をつなぐ試み。将来的な共同研究の可能性を含め、地域と教育機関が連携する貴重な機会となりました。
株式会社トーコーで学ぶ「ものづくりの現場」


株式会社トーコーでは既に香川高専出身者が多数活躍しており、社長自身も「高専生への期待は大きい」と語ります。高専生は実習を通じて学ぶ姿勢が身についており、新しい知識や技術に挑戦する力が評価されているとのことです。
同社は部品製造にとどまらず、機械全体を設計から完成まで手がけることが特徴であり、「ものづくりが好きな人にとって最高の環境」。実際、学生時代にロボコンやメカトロ分野で企画から完成まで経験した卒業生が、そのやりがいを活かして入社し、第一線で働いています。
「ホームページだけでは伝わらない会社の強みを体感してほしい」との思いから、インターンシップや見学会に積極的に取り組んでいる点も印象的でした。
株式会社カワニシで感じる「働く現場」


続いて訪問した株式会社カワニシでは、「学生にとって働くことを実感できる大切な機会」となりました。
社長は「学生時代には『仕事をするとはどういうことか』を実際には理解しきれない。現場で働く人の表情や姿勢を見てこそ、その意味が伝わる」と語ります。
香川県内でも大規模なものづくりが行われていることを学生に知ってほしいという願いも込められています。さらに、「自分はなぜ働くのか」「どのように力を活かすのか」を考える力が、これからの時代には欠かせないとのメッセージも印象的でした。
一部分の工程だけでなく、機械全体に関わる仕事ができることに魅力を感じて入社する学生も多いそうです。会社の理念や現場の雰囲気を素直に感じ取り、自らの将来を重ね合わせることが、進路選択の大きなヒントとなっています。
地域と学生をつなぐ架け橋として


今回の企業見学会は、香川高専、百十四銀行、そして参加企業の思いが重なって実現しました。学生は単なる就職活動の一環としてではなく、働くことの意味や地元企業の可能性を知るきっかけを得ることができ、県内にも挑戦できる場があると知ることは大きな意義があります。地域企業にとっても、自社の魅力を直接伝える貴重な機会となりました。
「まずは現場を見てほしい」という声は、両社に共通するメッセージです。今後もこうした取り組みが広がり、学生が地元で未来を描く一助となることが期待されます。
香川高専と百十四銀行による企業見学会は、学生が「働くことの意味」を考え、企業が「次世代への期待」を語る機会となりました。
香川県の未来を担う若者と企業をつなぐ取り組みとして、今後さらに発展していくことが期待されます。


(photo by 津村 晃央)