前川ファーム

耕せ芸術祭2025──農業と地域をつなぐ一日

農林・水産

 2025年10月26日(日)、高松市多肥上町にて「耕せ芸術祭2025(以下「耕せ芸術祭」)」が開催されます。主催は、地域に根ざした農業活動を展開する前川ファーム。運営の中心には、若い農業従事者を中心とした「耕せJAPAN!!」のメンバーたち。彼らは創意工夫を凝らし、農業の魅力を次世代へとつなげることを使命に掲げています。

農業を身近に感じる体験の数々

耕せ芸術祭の大きな魅力は、普段では味わえない「農業体験」が盛りだくさんであることです。中でも子どもたちに人気なのが、トラクターの試乗体験。昨年は展示だけでしたが、今年は安全面を徹底したうえで、実際にトラクターに乗ることができます。まるでロボットのような大きな機械に目を輝かせる子どもたちの姿は、農業を未来につなぐ象徴です。
 さらに、さつまいもの収穫体験や味噌作り体験など、「土に触れる」学びの場も充実。スーパーに並ぶ野菜しか知らない子どもたちにとって、畑から食卓に届くまでの一連の流れを体験できる貴重な機会となり、食育としても大きな意味を持ちます。

農業の未来をつくる──垣根を低くする挑戦

 「農業は大変そう」「稼げない」というマイナスイメージを持たれることも少なくありません。しかし、前川ファームのメンバーたちは「農業の垣根を低くすることが使命」と語ります。
 彼らは自らの姿を通じて「誰でも農業に挑戦できる」ことを伝えています。女性も活躍しており、来場者が親近感を持ちやすいのも特徴です。また、地域おこし協力隊の織田さんと連携し、新規就農相談ブースを設置。農業を始めたい人が気軽に話せる場を提供しています。
 耕せ芸術祭は、「未来の農業者を増やすための入り口」。農業に興味を持つきっかけを広げています。

地域をつなぐ協力の輪

 耕せ芸術祭には、前川ファームだけでなく、地元の生産者や店舗が多数参加します。お米や蜂蜜、花など一次産業の仲間が出店する産直・マルシェも開催。地域の味覚や手仕事を直接知ることができます。
 さらに、農業に関心がない人でも楽しめるよう、音楽やアートの要素を取り入れているのも魅力です。「農業に触れる入口は自由でいい。まずは楽しんでもらうことから始めたい」という思いが込められています。
 運営メンバー自身が「楽しむ姿」を見せることで、来場者に「自分もやってみたい」と思わせることを大切にしています。

チームで挑む新しい農業の形

 「農業はチームワークの仕事」
 前川ファームの運営スタイルはこの一言に尽きます。イベントの準備も、収穫体験やワークショップごとに責任者を立て、役割分担をしながら進めています。
 この仕組みは日々の農業経営にも通じています。複合的に作物を栽培し、互いに補い合うスタイルは、持続可能な農業モデルです。単独では難しいことも、仲間と力を合わせることで実現できる。芸術祭そのものが、農業の新しいあり方を体現しているのです。
 農業は一人ではできない仕事だからこそ、協力し合う姿を見て感じてもらい、「自分も農業を始めてみたい」と思えるようなきっかけになればと願っています。

未来へつなぐ種まき

 昨年は試験的に開催された耕せ芸術祭ですが、今年は規模も内容も大幅にパワーアップしています。
 「農業を通じて地域を元気にしたい」「子どもたちに土と触れ合う喜びを知ってほしい」──そんな熱い想いが込められた耕せ芸 術祭2025。

一人でも多くの人に、この取り組みをきっかけに農業の魅力を知ってもらうことが、未来への大きな一歩となるでしょう。