一般社団法人 こころざす

子どもたちの“生きる力”を磨く場所──小豆島「オリーブ学園」

教育・学習支援業

 小豆島を拠点に活動する一般社団法人こころざすは、島内外の子どもたちに小豆島ならではの様々な体験を提供するオルタナティブ・フリースクール「オリーブ学園」を運営しています。きっかけは、子育てに悩むお母さん達の声でした。「子どもが不登校になったとき、島内にある居場所は午前中しか開いておらず、安心して過ごせる場所と時間が限られている」といった声のほか、「将来の選択肢を増やすためにも、子どものうちに色々な体験をさせてあげたいけれど、なかなか時間を作ってあげられない」「せっかく何かに取り組んでいても、つい口を出してしまって、やる気を削いでしまう」といった悩みも聞かれました。
 そんな“気づかれにくい子育ての困りごと”を知った3人の若者が、子どもたちのための新たな学びの場づくりに乗り出したのです。

“得意”を見つけ、自信につなげる学び

 オリーブ学園が大切にしているのは、「子どもたちが自分に自信を持ち、大人になってもワクワクできること」。そのために、学校教育の枠にとらわれない多様な体験を提供しています。
 販売体験やアート、自然体験、イベントの運営など、さまざまな“本気のプロジェクト“に子どもたち自身が主体性を持って関わります。また、仕入れから販売までを子どもたちが担い、大人顔負けのビジネスも体験します。
 たとえば、ある男の子は「レモネード屋さんをやりたい」と言い出し、自ら創業計画書を作成し、保健所に申請を行うなどの準備を重ね、本格的に出店を実現しました。さらに、小豆島産や無農薬の材料にこだわり、地元で人気のジェラート屋さんに味を監修してもらうなど、細部にまでこだわり抜いた姿に、大人たちも驚かされました。

小豆島だからできる「学び」がある

 オリーブ学園の魅力のひとつは、小豆島という土地ならではの体験ができること。豊かな自然と共に地域の産業と触れ合う中で、自分の好きなことや得意なことに出会えます。また、島の人たちの協力も手厚く、「子どもたちの挑戦を応援したい」という想いが地域全体を包んでいます。
 月に一度の「こどもマルシェ」では、島内外から100〜300人規模の来場があることも。子どもたちは“店長”となり、自ら考えた商品を販売。仕入れや価格設定、マーケティングも学びます。さらに最近では、島外のイベントにも出店し、人とのつながりや自信を深める機会となっています。

「自分の人生を自分で選ぶ」を育むために

 「何のために勉強するのか?」──オリーブ学園が目指すのは、子どもたちが“自分の人生を豊かにするために学ぶ”こと。そのために、机の上だけでは学べない“生きる力”を育てる実践的な学びに力を入れています。
 不登校や発達特性のある子どもたちを取り巻く課題は、制度や社会の理解不足にもあると言います。「誰もが生きやすい社会」をつくるために、大人も子どもも一緒に学び、成長していく。そんな学び舎がオリーブ学園なのかもしれません。
 今後は、県外からの「離島留学」や短期滞在プログラムも充実させ、島外の子どもたちにもこの特別な学びを届けていくことを目指しています。
 小豆島だからこそできる実践的な学びが、地域を越えて広がっていくことで、多くの子どもたちに新たな選択肢が生まれていくことが期待されます。


オリーブ学園公式ホームページ:https://www.zero-live.org/