一般社団法人パッククッキング協会ジャパン

防災食からSDGsまで——パッククッキングが仕掛ける“食”への意識改革

 耐熱のポリ袋で食材を包み、湯せんで加熱する「パッククッキング」。多くの人が「防災食」として聞いたことはあっても、実際に体験したり、日常の調理として取り入れたことがある人は少ないかもしれません。
 香川県を拠点に活動する一般社団法人パッククッキング協会ジャパンの代表理事である池田 奈央さん(以下「池田さん」)に、パッククッキングを通した取り組みについてお話を伺いました。

非常時こそ美味しさをあきらめない、パッククッキングの可能性

 もともとは「災害時調理法」として2014年に活動を始めた池田さん。野菜ソムリエの資格も活かしながら、工夫をこらしたメニューを紹介していく中で、あるとき言われた「防災食なのに美味しいなあ」という言葉が転機になったと話します。
 非常時だから味は二の次、と思われがちですが、少し工夫すれば美味しくて体にも優しい食事は作れる。そんな“気づきが”が今の活動のきっかけになったと言います。
 パッククッキングは、料理初心者、もっと言うと「料理したことがない人」でも簡単に実践できるため「高校生のための一人暮らし講座」「子ども教室」など、幅広い世代への応用が可能です。保存性や調理のしやすさに加え、袋の中で栄養も味も逃さないという利点もあります。

「食」を見つめ直すきっかけとしてのパッククッキング

 食事の時間はどのくらいですか?
 「何を食べているか」を意識することはありますか?
 現代の私たちは、便利さを求めすぎるあまり、食べることが“義務”のようになってしまったり、見た目や時短ばかりに気を取られ、体に取り入れる大切な“食”への関心が薄れている。そうした傾向に、池田さんは課題を感じたと言います。
 だからこそ、ただ料理を教えるのではなく、「なぜ食べるのか」「どう食べるのか」という根本的な問いを投げかける“入口”として、パッククッキングを活用しているのです。
 “パッククッキング”という体験を通じて、食への意識に変化をもたらしたい。特に、ふだん“食”に対する問題意識を持っていない人にこそ、そのきっかけを届けたいというのが池田さんの想いです。

パッククッキングがもたらすSDGsへの一歩

 パッククッキングは、誰でも簡単に実践できる調理法であると同時に、調理時に使う水の量を大幅に削減できることや、袋の中で無駄なく調理できるため、食品ロスやごみの削減にもつながります。さらに、エネルギー効率にも優れており、日常の暮らしの中で無理なくSDGsに貢献できる点も大きな魅力です。


 池田さんが目指しているのは、「楽しく課題解決ができる社会」。防災・教育・福祉・環境といったさまざまな切り口でパッククッキングの可能性を広げています。


一般社団法人パッククッキング協会公式ホームページ:https://packcook-j.com/

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