
香川県高松市にある特定非営利活動法人 親の育ちサポートかがわ(以下「親の育ちサポートかがわ」)は、「フリースペース@三木町」を運営しています。ここは、学校以外で子どもが安心して過ごせる、そんな居場所となっています。
また、出席認定が受けられるフリースペースであるため、学校に通うことが難しい子どもたちにとって、安心して学校を休み、こころのエネルギーを貯めて次の一歩へとつなげていくための大きな役割を果たしています。
今回は、「親の育ちサポートかがわ」理事でもあり、香川大学医学部に勤務する小児科専門医の鈴木 裕美先生にこの取り組みについてお話を伺いました。
フリースペース@三木町──子どもたちの個性を尊重する“居場所”
「フリースペース@三木町」には、本来の自分を出せなくなってしまった子どもや、反対に、人と関わるのが苦手で静かに過ごしたい子どもなど、さまざまな背景を持つ子どもたちが訪れます。大切なのは、それぞれの個性を尊重し、無理のないペースで過ごしてもらうこと。
また、「子どもが自分のタイミングで『行ってみたい』と思える場であることが大切」という思いから、スクールカウンセラーとの面談やイベント参加をきっかけにフリースペースを覗ける仕組みを整えるなど、子どもたちが自然に一歩を踏み出せるような工夫を重ねています。
さらに、「フリースペース@三木町」では、支援員が学校現場でも活動しており、学校との連携も少しずつ進んでいます。子どもたちの状況や心の変化が丁寧に共有されることで、復学や進学といった次のステップに向けた支援も可能です。
“子どもを変える”のではなく、“親が変わる”
「フリースペース@三木町」を運営する「親の育ちサポートかがわ」は、名前の通り「親自身の学び」も大切にしています。
「子どもをどうにかしたい」と願う親の気持ちは自然なことですが、変えようとするばかりでは何も変わらない。むしろ、親自身の捉え方や関わり方を見直すことで、子どもにとっての環境や心の状態が少しずつ変わっていくと言います。
ここでは、ただ悩みを共有するだけではなく、「気づき」や「学び」が得られるよう、経験豊富なスタッフによるサポート体制が整っています。小児科医、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカー、発達障害児の療育専門家など、多様な専門性を持つ支援者が、親と子どもの両方に寄り添ってサポートしています。
一人ひとりが“自分の道”を歩める社会へ

「ユニパス」という言葉をご存知でしょうか?
これは、「ユニークなパス(道)」を生きる人たちを指す言葉です。不登校や長期入院、虐待や精神疾患など、さまざまな経験をした人たちのことです。
「親の育ちサポートかがわ」では、この「ユニパス」の認知を広げ、同じような経験を持つ人たちがつながり、情報や体験を共有できる新たな支援ネットワークの構築にも取り組んでいます。
学校や社会という枠にとらわれず、それぞれの子どもが“自分らしく学べる場所”を持てること。悩みを抱える親が、一人で抱え込まずに歩んでいけること。
それは、誰もが生きやすい社会を実現するための一歩なのです。
親の育ちサポートかがわ 公式ホームページ:https://www.oyanosodachi-support.com/