
香川県高松市にある「児童発達支援・放課後等デイサービス いろは(以下「いろは」)」は、小学生を中心とした子どもたちが、自分の“好き”を見つけ、それを将来の進路につなげるための支援を行う場所です。代表の岡 実樹さん(以下「岡さん」)は、かつて小学校の教員として地域の課題解決にも貢献できる人材の育成を目指し、キャリア教育に注力していました。
“得意”や“興味”をきっかけに、将来の選択肢を広げてほしい。
「いろは」では、まず子どもたちが何に興味を持ち、何をしているときにワクワクするのかを一緒に探ることーから始まります。そのうえで、社会に出るために必要なスキルやマナーを身につけ、将来、”自立して生きていける力”を育む場所となっています。
個性を尊重し、実社会へのステップを支える

「いろは」では、子どもたちの将来の就労を見据え、特性に合わせたスキルトレーニングが行われています。5つの領域に分けて、生活力や対人関係、作業力などを少しずつ身につけます。例えば、調理や製作などの体験を通じて「やってみたい」と思える分野を見つけることで、自然と将来の仕事のイメージを広げます。
一人ひとりの好きなことや得意なことを“武器”として育てる。そんな方針のもと、「与えられた課題を納期までにこなす」といった就労スキルの基礎も丁寧に支援されているのが特徴です。特に、発達障害や自閉スペクトラム症を抱える子どもにとって、新しい場面や人間関係は大きな壁になることがあります。そのため、少しずつ新しい体験やコミュニケーションの練習を積み重ねることで、安心して社会に出られる土台を築いています。
また、「なぜこの活動に取り組むのか」「それが自分の未来にどうつながるのか」といった目的意識を持って取り組むことも、「いろは」では大切にされています。目の前の課題をこなすだけでなく、将来の自分像を思い描きながら行動することで、子どもたちは自分の成長を自覚し、意欲的に学びを深めていくようになります。そうした積み重ねが、やがて社会で自分らしく働く力につながっていくのです。
地域の大人との出会いが、可能性をひらく
「いろは」では毎月、地域で活躍する経営者や専門職などを講師として招き、自らの過去や体験談、仕事について語ることで、子どもたちの興味を刺激し、社会の中で生きるための考え方の学びの場を提供しています。
また、岡さんは「好きなものを通じて、他人との関係を築く力を育てたい」とも話します。共通の趣味や関心は、子どもたちが自分らしく人と関われる入口にもなります。加えて、「他人の好きなものを否定しない」姿勢や、助けを求める力も学んでいくことで、豊かな対人関係を築く土壌が育まれていきます。
社会の理解こそ、子どもたちの未来を照らす鍵

「いろは」の取り組みがいかに意義深くても、地域や企業の理解と協力がなければ、子どもたちの未来はなかなか拓かれていきません。
子どもたちの可能性を広げていくためには、企業や学校、そして地域社会の皆さん一人ひとりの理解と協力が欠かせません。
特性を持つ子どもたちが自分の得意分野で力を発揮できるように、適材適所の環境や、受け入れ体制を少しずつ整えていくことが大切です。そうした輪を広げるために、岡さんは企業研修の講師として現場の声を届けたり、夏祭りや作品展といった地域との接点を大切にしたイベントも積極的に行っています。
「全部できなくていい。何か一つでも、その子が得意なことを、誰かのために活かせるようにしたい」
「いろは」が目指すのは、子どもたち一人ひとりが“自分の人生を選べる力”を持ち、その選択が受け入れられる地域社会です。
「いろは」の思いに共感し、少しでも関心を寄せてくれる人が増えていけば、未来はきっともっとやさしく、希望に満ちたものになっていくはずです。
児童発達支援・放課後等デイサービス いろは
公式ホームページ:https://irohatakamatsuday.wixsite.com/168plus
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