テーブル高松

所作が育む、心と信頼──テーブル高松が伝える“日常の礼”のちから

教育・学習支援業

 香川県高松市を拠点に活動する「テーブル高松」は、テーブルコーディネートと礼儀作法を通じて、暮らしの中に“丁寧さ”や“思いやり”を育む学びを提供しています。
 この教室を主宰するのは、食空間コーディネート協会認定講師であり、小笠原流礼法の実働師範でもある柴田知子さん(以下「柴田さん」)です。「中途半端な知識で教えるのは失礼」との信念のもと、自らの技術と知識を高め続けています。
 「マナーや所作は、見た目だけでなく、人柄や信頼感に直結します。たった一つの動作で、相手の印象は大きく変わるんです」と語る柴田さん。
 今回は、そんな柴田さんの現在の取り組みとこれからの想いを伺いました。

誰もが学べる“日常の作法”──暮らしの中の“礼”の本質を伝える。

 「テーブルコーディネートやマナーは、華やかな世界や一部の人の嗜みと捉えられることもありますが、実際には、すべての人が日々の生活の中で大切にすべき“日常の作法”なんです。」
 そう語る柴田さんは、テーブルコーディネートやマナーをもっと身近に感じてもらえるよう、さまざまな工夫を凝らしています。たとえば、女性限定のイメージが強かったマナー講座においても、「男性のためのマナー講座」や「スイーツ男子のための交流会」といった企画を展開。誰もが気軽に参加できる入口を意識し、従来のイメージを柔らかくほぐしていきます。
 また、親子で参加できる講座も展開しており、子どもと一緒に基本的な作法を学べるようなプログラムも用意されています。たった一つ”お箸の持ち方”でも、それが身につけば一生の財産になります。
 世代や性別を問わず、“丁寧に生きること”を学ぶ場として、テーブル高松は多様な講座のかたちを提供しています。

海外からの働き手にも伝えたい、日本の“おもてなし”の心

 柴田さんは、外国人労働者に向けた礼儀作法の講座の実施も構想しています。特に、コンビニや飲食店、ホテルなど接客の現場では、多くの外国人スタッフが活躍する一方で、文化や慣習の違いによって、思わぬすれ違いが生じることも少なくありません。
 「お待たせしました」と一声添え、品物を両手でそっと差し出す。その一連の所作にこそ、日本ならではの“気配り”や“おもてなし”の精神が宿っています。
 言葉よりも、立ち居振る舞いや所作から伝わる印象のほうが大きい場合もあります。たとえば、品物を雑に置くのではなく、両手を添えて丁寧に渡すだけでも、相手の受け取り方はまったく変わってきます。
 こうした背景を踏まえ、柴田さんは外国人技能実習生や留学生などの受け入れを行う企業・団体と連携し、日本文化に基づいた接遇マナーや日常作法を学べる講座の実施を視野に入れています。
 「ほんの少しの所作を知っているだけで、現場での評価が変わり、それが自信にもつながるはず。そうした支援を、私なりの形で届けていけたら」と、柴田さんは穏やかな口調で語ってくれました。

礼儀作法は、自分を育てる“生きる力”

 「礼儀作法を通じて、自分の軸を育てること」。
 そうした思いを大切にしながら、柴田さんは日々の活動に取り組んでいます。
 背筋を伸ばして立ち、静かに腰を下ろす――。たったそれだけの動作でも、「この人は信頼できそう」「仕事を任せられそう」といった印象を、相手に与えることができると言います。
 所作は、まさに精神のあらわれ。身につけることで内面が磨かれ、それがやがて自信にもつながっていくのです。本来、礼儀作法とは”相手を思いやる気持ち”を“かたち”として表すもの。だからこそ、家庭、学校、そして社会の中で、年齢や立場を問わず学ぶ意味があるのだと、柴田さんは強調します。

 「まずは、自分が変わること。そしてそれが、家庭や地域、ひいては社会全体へと広がっていく」。そう信じて、柴田さんは今日も一人ひとりに丁寧に寄り添いながら、“礼の心”を伝え続けています。


テーブル高松 公式ホームページ:https://www.tabletakamatsu.com/