一般社団法人 Setouchi水軍

「島に灯す、小さな希望の花火」—— 一般社団法人Setouchi水軍が描く離島の未来地図

 瀬戸内海に浮かぶ小さな島々——静かな海と豊かな自然に囲まれたこの地域は、同時に少子高齢化や過疎といった課題も抱えています。そんな現状に風穴を開けようと動き出したのが、一般社団法人Setouchi水軍(以下「Setouchi水軍」)です。代表の藤川氏は医療従事者として島々に関わる中で、医療以外のかたちでも島の力になりたいと考え、仲間たちとともに活動を始めました。

“冗談”から始まった本気のプロジェクト

 きっかけは、ある何気ない一言でした。「瀬戸内海の船から花火を打ち上げようぜ」——。一見すると突拍子もないこの発言が、「花火を見ればきっと誰もが笑顔になれる」「瀬戸内を行き交う客船を喜ばせたい」という想いへと変わり、やがて地域を巻き込み、本気のプロジェクトへと育っていきました。
 代表の藤川氏は、医療現場の仕事を通じて瀬戸内の離島に通う中で、「医療だけでは解決できない課題が山ほどある」と感じていたといいます。使われていない漁船や、引退した漁師の知識といった“島の資源”にも着目し、島に暮らす人々と共に島を活性化したい——そんな想いから、Setouchi水軍が誕生しました。

島に寄り添い、チームで挑む——多様なメンバーが生み出す“横断型”の力

さぬき広島お大師まいり

 Setouchi水軍の活動は、まず「島に足を運ぶこと」から始まりました。さぬき広島でのお大師さんの修復作業や、男木島でのビーチクリーンと住民交流会など、実際に現地に訪れ、島の人たちの声に耳を傾けながら、一つひとつの課題に丁寧に向き合ってきました。
 こうした活動には、地元の方々だけでなく、学生や島外のボランティアも参加。単なる作業にとどまらず、地域との信頼関係を育みながら、新しいつながりを生み出す場ともなっています。
 この“現場主義”を支えているのが、多様なメンバーたちの存在です。現在は中核メンバー7名に加え、一般会員制度を整備しながら活動の幅を広げています。医療、建築、IT、農業、飲食業など、バックグラウンドの異なるメンバーが集い、それぞれの専門性を活かして柔軟に役割を分担し、ニーズに応じて形を変えられるのが、Setouchi水軍の大きな強みです。
 今後は、継続性ある仕組みづくりを進めながら、「一過性で終わらない地域づくり」を本格化させていく構えです。

目指すのは、“頼られる存在”への進化

 将来的なビジョンは明確です。「島のことで困ったら、まずはSetouchi水軍に相談してみよう」と思ってもらえるような、頼れる存在を目指しています。
 さらに、島に根付いた文化財や歴史的ストーリーを発信し、観光資源として活かす取り組みも構想中です。
 もちろん、活動はボランティアだけでは成立しません。人材育成、文化継承といった長期視点の取り組みを通じて、誰もが継続できる仕組みづくりも進めていきます。
 「やるからには、楽しみながら、続けられるかたちでやりたい」——そんな藤川氏の言葉に、多くの人が共感しています。

 あなたも、島の未来をつくる仲間になりませんか?

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