この記事でわかること
- 三重県企業の売上高ランキングTOP10(2024年度決算ベース)
- 各企業の事業戦略と直近の成長要因
- 三重県経済の産業構造と今後の展望
- ビジネス連携・転職・投資判断に役立つ企業分析
- 地域経済をけん引する企業の最新トピックと将来戦略
読了目安時間:約15分
「三重県にはどんな大企業があるのか?」「地域経済をけん引している企業の動向が知りたい」
そんな疑問をお持ちの経営者や事業担当者、転職・就職を検討中の皆様に向けて、2024年度決算を基にした三重県企業の売上高ランキングTOP10を詳しく解説します。単なる数字の羅列ではなく、各社の強み、直近のトピック、今後の展望を網羅し、事業戦略立案やキャリア設計に役立つ内容に仕上げました。
三重県は自動車・半導体・食品を中心とした製造業出荷額11兆円強を誇り、四日市港の総合物流、伊勢志摩を擁する観光、地銀2行体制など多層的な産業構造を持つことが特徴です。今回ご紹介するランキング上位10社の売上高合計はおよそ2兆7,500億円にのぼり、県内総生産の約3割に相当する、まさに県経済をけん引する存在となっています。
※本ランキングは公開決算データに基づく売上規模順の一覧であり、各社の企業価値や優劣を示すものではありません。
1. ランキングの概要と三重県経済の現状

今回のランキングは、三重県に本店を置く企業を対象とし、2024年度の連結決算(金融機関は経常収益)を基に作成しました。
特に注目すべきは、近年のデジタル化や脱炭素化の流れの中で、従来の製造業が高付加価値化を進めていることです。単純な部品製造から、システム全体を提供するソリューション企業への転換や、環境配慮型製品の開発など、時代の変化に対応した事業展開が活発化しています。
2. 三重県企業 売上高ランキング TOP10(2024年度)
順位 | 企業名(所在地) | 売上高 (億円) | 従業員数 | 主要事業 |
---|---|---|---|---|
1 | 住友電装株式会社(四日市市) | 19,892 | 24.7万人 | 自動車用ワイヤーハーネス・データ通信システム |
2 | 株式会社百五銀行(津市) | 1,245 | 2,627 | 地方銀行(経常収益ベース) |
3 | 日本トランスシティ株式会社(四日市市) | 1,226 | 4,886 | 総合物流・港湾倉庫 |
4 | 三重交通グループHD株式会社(津市) | 1,038 | 8,587 | 運輸・不動産・ホテル |
5 | 株式会社三十三フィナンシャルグループ(四日市市) | 749 | 2,530 | 銀行持株(経常収益ベース) |
6 | ジャパンマテリアル株式会社(菰野町) | 527 | 2,353 | 半導体・液晶向け特殊ガス供給 |
7 | 井村屋グループ株式会社(津市) | 511 | 1,287 | 製菓・冷菓・レトルト食品 |
8 | 太陽化学株式会社(四日市市) | 500 | 1,035 | 食品機能素材・健康成分 |
9 | ヴァーレ・ジャパン株式会社(松阪市) | 441 | 740 | 高純度ニッケル・金属素材 |
10 | 株式会社柿安本店(桑名市) | 371 | 3,238 | 精肉・惣菜・和菓子・外食 |
3. 売上1位:住友電装 ― EV向けハーネス投資を加速
売上高約2兆円規模の住友電装は、自動車用ワイヤーハーネスの世界トップメーカーです。四日市本社を司令塔にグローバルな事業ネットワークを構築し、三重県経済を牽引しています。
EV化をリードする先端開発
同社の最新の取り組みとして注目すべきは、EV向けワイヤーハーネス需要に対応した先端開発投資を継続している点です。このEVシフトは、同社の取引先企業にとって大きなビジネスチャンスをもたらしており、特に軽量導体や再生銅など低環境負荷材料を扱うサプライヤーとの提携余地が拡大しています。
セクション3のポイント
- 自動車のEVシフトをリードする技術開発で、高い存在感を維持。
- 環境配慮型材料の需要増により、サプライヤーとの新たな協業機会が創出されている。
- 車載高速通信など先端分野での技術系人材の需要が拡大している。
4. 物流・交通の要:日本トランスシティと三重交通Gのインフラ戦略
三重県経済を支えるもう一つの領域が、物流・交通インフラ企業です。日本トランスシティ(3位)と三重交通グループ(4位)が、県内外の物流・人流を支えています。
DXで進化する物流ハブ
四日市港を拠点とする日本トランスシティは、AI倉庫運用システムを導入した危険物専用倉庫を稼働させ、入出庫時間を2割短縮することに成功しました。
スマートシティを見据えた交通モデル
三重交通グループは、伊勢志摩観光の輸送を担うほか、桑名駅前再開発など大型不動産事業も推進。
観光業界関係者からの声
「MaaSの導入により、観光客の移動がよりスムーズになることで、地域全体の経済効果が高まることを期待しています。特に伊勢志摩地域では、観光地間の移動が課題となっていましたが、スマートモビリティの活用で解決の糸口が見えてきました。」
– 三重県内観光業関係者
セクション4のポイント
- 物流・交通インフラにAIやMaaSなどのDX技術が導入され、効率性と利便性が向上。
- 日本トランスシティは、グリーン物流の拠点として企業のBCP戦略に貢献。
- 三重交通グループは、スマートシティ開発の中核を担い、地域価値の向上を支える。
5. 成長分野を支える注目企業群(6位~10位)

ランキング6位から10位には、半導体、食品、金属素材といった成長分野で独自の強みを発揮する企業が並びます。
半導体・食品・EV関連で高成長
- ジャパンマテリアル(6位):半導体市場の活況を受け、12.4%の高い成長率を記録。エンジニア200人の増員を予定しており、地域の雇用創出にも貢献。
- 井村屋グループ(7位):プラントベースアイスや海外向け「あずきバー」が好調。伝統を守りつつ、新たな市場を開拓する革新性が強み。
- 太陽化学(8位):健康志向の高まりを受け、食品機能素材の需要が国内外で拡大。顧客との共同開発を強化し、付加価値の高い製品を生み出している。
- ヴァーレ・ジャパン(9位):EVバッテリー用ニッケルの増産体制を構築。メタルリサイクル事業にも参入し、サーキュラーエコノミーを推進。
- 柿安本店(10位):百貨店での中食惣菜ブランドが好調。高級和牛ECなどDX販売も強化し、リアルとオンラインの両輪で成長。
セクション5のポイント
- 半導体、健康志向食品、EV関連素材など、世界的な成長トレンドに乗る企業がランクイン。
- 伝統的な事業を基盤としながら、DXや海外展開で新たな成長機会を掴んでいる。
- 各社とも研究開発や設備投資に積極的で、将来の成長に向けた布石を打っている。
6. 実践的活用法:三重県企業の動向をビジネス・キャリアに活かす
これらの企業動向から、ビジネスやキャリアに活かせるポイントを整理してみましょう。
ビジネス連携・協業の観点から
サプライチェーン最適化の観点では、上位メーカーのGX(グリーントランスフォーメーション)方針を踏まえた提案が重要です。特に住友電装やヴァーレ・ジャパンなどは環境配慮型材料への転換を急速に進めており、この分野での協業機会が拡大しています。また、地域金融機関が提供するDX融資やスタートアップ支援を活用することで、投資資金と経営ノウハウを同時に確保することも可能です。
転職・就職の観点から
EV・半導体・食品など成長分野の研究開発・生産技術・DX推進職は採用ニーズが高く、転職市場でも有利な状況が続いています。特に、技術スキルに加えてコミュニケーション能力とデジタルリテラシーを併せ持つ人材は、高い評価を得られるでしょう。
地元IT企業経営者からの声
「大手製造業のDX需要は想像以上に高く、特に生産効率向上やカーボンニュートラル対応のシステム開発案件が急増しています。地方だからこそ、お客様との距離が近く、きめ細かいサービスを提供できるのが強みです。優秀な人材確保のため、リモートワーク環境の整備や首都圏からのUIターン支援も積極的に行っています。」
– 四日市市内IT企業経営者
7. まとめ:多様性と成長性を兼ね備えた三重県経済の未来
三重県のトップ企業は、グローバル展開・技術革新・地域密着を巧みに組み合わせ、人口規模を超えた経済影響力を放っています。住友電装という巨大企業から、地域に根ざした食品企業まで、多様な業界の企業がそれぞれの分野で確実な成長を遂げている点が、三重県経済の強みです。
事業パートナーを探している企業にとって、三重県は脱炭素・DX・国際化という現代のビジネストレンドすべてに対応できる企業が集積する魅力的な地域といえます。また、就職・転職を考える方にとっても、自動車電動化や半導体復権といった成長分野でキャリア価値を高められる環境が整っています。
今回のランキングで明らかになったのは、三重県経済の底堅さと未来への成長ポテンシャルです。この好機を活かして、地域とともに成長する事業戦略やキャリア戦略を描く絶好のタイミングが到来しています。
参考データソース
データソース名 | URL |
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住友電装 2024年度決算短信/統合報告書 | https://www.sws.co.jp/ |
百五銀行 2025年3月期 決算説明資料 | https://www.hyakugo.co.jp/ |
日本トランスシティ 2024年度 IR プレゼン | https://www.trancy.co.jp/ |
三十三フィナンシャルグループ 決算短信/中期経営計画 | https://www.33fg.co.jp/ |
ジャパンマテリアル 2025年3月期 有価証券報告書 | https://www.j-materials.jp/ |
井村屋グループ 統合報告書 2024 | https://www.imuraya-group.com/ |
太陽化学 第99期 決算公告 | https://www.taiyokagaku.com/ |
柿安本店 2025年4月期 決算短信 | https://www.kakiyasuhonten.co.jp/ |
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